企業の地球温暖化対策への関心が確実に高まっていることが、国際NGO、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(以下CDP)の調査結果で数値として裏付けられました。第3回となる同調査結果(CDP3)によって、気候変動は企業にとってリスクである一方、ビジネス向上の機会でもあると考える企業が45%から90%に増加し、企業の環境への感心が急激に高まっている現状が浮き彫りになりました。
[地球温暖化対策の火付け役は投資家たち]
今回の調査結果で対象となったFT500社で、アンケート回答率が昨年の59%から70%に急増したことや、CDP自体の組織拡大からも、その注目度の高まりが見て取れます。CDPの参加企業は昨年の95社から155社、運用額は10兆円から21兆円と大幅に増加しています。
CDP3の調査結果によると、回答した354社のうち、86%が気候変動のためのマネジメント・システムについて、そして80%が温室効果ガス排出量についてのデータを開示しています。また、全体の3分の2(63%)が気候変動におけるリスクの査定や排出量削減のための組織的な戦略を打ち出していることもわかりました。
CDPの会長を務めるジェームズ・キャメロン氏は、「ウォール・ストリートは気候変動が生むリスクと機会にようやく気づき始めた」とコメントしています。そして、気候変動がどの程度ビジネスに影響を及ぼすのかや、どのようにしたらチャンスを掴めるのか、そして、リスクを最小限に押さえるために何が必要かを世界の巨大企業が、考え始めたということを強調しています。
この世界的な動きは、投資家が大きな役割を果たしていると見られています。キャメロン氏によると、気候変動に対する投資家の注目は年々高まっており、気候変動対策について回答せざるを得ない状況に企業が直面する機会も増加しているといいます。例えば、デューク・エナジーと合併したシネジー社は、投資家からの要請に応えるため、気候変動に関するステークホルダーのインタビューをアニュアル・レポートに掲載したり、気候変動についての質問に対する回答を記載した報告書を発行するなどして対応しています。CDP3の報告書にはその他、さまざまな事例がまとめられています。
[行動が伴わない情報開示]
世界的に環境問題に対しての関心が高まったと報告されているこの調査結果では、実りある報告が数多くなされましたが、反面、企業の怠慢も見え隠れしています。FT500社のうち、半数以上が地球温暖化ガス放出量を開示していました。また、削減のためのプログラムの実行(51%)や削減目標の設定(45%)などといった試みについても触れられています。しかし、その放出量の昨年比削減量を報告している企業は50社(1%)にも満たなかったのです。
世界的にも日本企業には、比較的地球温暖化ガス放出量の削減量のデータ開示は進んでいるところが多いといわれていますが、今回の調査結果を踏まえてCSRレポート、もしくは環境・社会報告書を制作していくことが求められます。
■ソーシャル・ファンズ
Third Carbon Disclosure Project Survey Finds Increasing Action on Climate Change
■カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト3(CDP3)のレポート(PDF)
Carbon Disclosure Project 2005--On behalf of 155 investors with assets of $21 trillion--